チョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)とは?
チョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)とは、子宮内膜の組織が子宮後面やダグラス窩、骨盤内にできる疾患です。
子宮内膜症の17~44%が合併してるとされ、20歳代から30歳代に好発するとされます。
生殖年齢と言われる20歳代から30歳代に好発するため、卵巣にチョコレート囊胞が発生した場合は、卵巣を温存した手術になることが多いようです。
チョコレート嚢胞の症状
チョコレート嚢胞の症状として
・下腹痛,腰痛,排便痛などの月経痛
・不妊症
・卵巣がんなどの悪性腫瘍
卵巣チョコレート囊胞は、子宮内膜症のうち17~44%が合併しているとされます。子宮内膜症の約半数が不妊症で悩んでいるとされ相関関係があるとされます。
卵巣チョコレート囊胞は機能性腫瘤に分類されおり良性とされてきましたが、悪性化することも少なくないため悪性腫瘍の発生母地として慎重に対応されています。
チョコレート嚢胞の検査
チョコレート嚢胞の検査は、超音波検査やMRI検査などが行われます。特に画像診断が有効とされ、腫瘤状のものが確認されるとCA125、CA19-9など腫瘍マーカーの測定が行われることもあります。
この次は、チョコレート嚢胞の治療について詳しく紹介します。まだまだ続きます。
チョコレート嚢胞の治療
チョコレート嚢胞の治療は、薬物療法、外科治療などがあります。
薬物療法は、GnRH アゴニストなどがありますが、卵巣チョコレート嚢胞の場合は痛みなど疼痛が一時的に軽快して嚢胞径の縮小などもありますが、嚢胞の消失はないとされます。
卵巣チョコレート嚢胞については外科的治療が優先されることが多いようです。20歳代から30歳代に好発するということから卵巣を温存する治療が行われます。
■卵巣チョコレート嚢胞の外科治療
・超音波ガイド下吸引
・手術治療
・腹腔鏡下手術
a)保存手術
・嚢胞切開・吸引術
・嚢胞摘出術
・嚢胞切開・吸引術+嚢胞壁焼灼(レーザー・バイポーラー)
b)根治手術
・卵巣摘出
・付属器摘出
・開腹手術
参考:子宮内膜症性囊胞(卵巣チョコレート囊胞) 日産婦誌58巻12号
外科的治療は、嚢胞摘出術が再発率も低く(15%から20%)根治性が高い術式であるため第一選択肢となっています。この他にも様々な治療法があるので産婦人科医から十分な説明を受けることが大切です。
卵巣チョコレート嚢胞と不妊治療
日産婦誌58巻12号によると、「卵巣チョコレート囊胞の存在が妊孕能低下を招くかどうかについての報告はない」とされています。
また「チョコレート囊胞の存在と妊娠率との間に関連はみられない」とも記載されています。ですが十分なコンセンサスが得られていないため十分な臨床成績が集積されることが望まれます。
不妊治療を受ける人で子宮内膜症を合併している人もいるので今後の研究が待たれます。
この他、子宮内膜症については子宮内膜症で、子宮の病気と不妊については子宮の病気と不妊で紹介しています。
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