妊娠中の食事は大切!
妊娠中の食事は、栄養のあるものをバランスよく食べることが大事です。特に鉄分が不足しがちなので、ほうれん草など鉄分を多く含む食品を食事に取り入れてみましょう。
食事には葉酸やビタミンB群を取り入れて健康的な体作りを目指しましょう。
妊娠中に取りたい栄養素
妊娠中は赤ちゃんの分までしっかりと栄養を補給することが大切です。
食事が大事と言っても量を増やすのではなく、バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。
妊娠中に摂りたい栄養素として、葉酸・鉄分・タンパク質・カルシウム・ビタミンB群・ビタミンC・食物繊維があります。どの栄養素もママと赤ちゃんに必要な栄養素ばかりです。
外食だけでは、これだけの栄養素を摂るのは難しいので、できるだけ新鮮な野菜や肉、魚を使ってバランスの良い食事を摂りましょう。
■葉酸
妊娠超初期や初期に葉酸を摂ることで神経管閉鎖障害のリスクを軽減できることが分かってきました。厚生労働省も葉酸の摂取を推奨しています。
葉酸は、ほうれん草やイチゴなどに含まれていますが、今の食事では葉酸が不足しがちになります。葉酸の摂取にはサプリなどの栄養補助食品で摂るのもいいでしょう。
サプリを使うときは葉酸の過剰摂取に注意して規定量を守って飲むようにしましょう。サプリを摂る前に担当医に相談してから摂るようにしたほうが安心です。
葉酸サプリメントについては妊娠と葉酸サプリメントで詳しく紹介しています。
■鉄分
赤ちゃんに成長に必要な血液を送るために多くの血液が必要になります。血液を作るときは、鉄分が重要な役割を持ちますので鉄分補給が重要になってきます。
妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすいので鉄分を摂ることが必要です。
鉄分を多く含む食品は、ほうれん草・小松菜・枝豆・豆腐や納豆などの大豆製品・ニジマス・鰹節などに多く含まれています。鳥レバーや豚レバーなどにも鉄分は多く含まれますが、ビタミンAが多く含まれるので注意が必要です。
ビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんの成長に影響が出るリスクが高いため摂取量に十分に注意してください。
■タンパク質
タンパク質もお腹の赤ちゃんの成長に大事な栄養素です。動物性・植物性タンパク質を上手に食事に取り入れてみましょう。
動物性タンパク質は、肉、卵、乳製品に多く含まれています。植物性タンパク質は、大豆や大豆製品、穀物に多く含まれています。
魚も良質なタンパク質を含みますが、水銀が多く入った魚(鯨・マグロなど)を多く食べないように注意してください。
■カルシウム
カルシウムも赤ちゃんの骨格形成や歯の成長に必要です。カルシウムを多く含むものには干しエビや煮干しなど丸ごと食べられる魚、牛乳・枝豆・大豆などに多く含まれます。
注意したいのはプロセスチーズなどのチーズです。チーズにはカルシウムが非常に多く含まれていますが、雑菌が発生しやすく病気になるリスクも高いため避けたほうがいいでしょう。
■ビタミンB群
ビタミンB1やB6、B12などは、妊婦さんにとって大事な栄養素となります。
ビタミンB1は、エネルギーを作るのに必要で豚肉・ハムなどに多く含まれます。ベーコンにも多く含まれますが、塩分が多いので注意しましょう。
ビタミンB6は、つわりを緩和する働きがあると言われています。焼き海苔や青のりなどに多く含まれている栄養素です。マグロや鳥レバーなどにも多くふくまれていますが、水銀やビタミンAが多くあるので注意してください。
ビタミンB12は、葉酸や鉄分の合成を助ける働きがあり、煮干しやイワシの丸干しかつお節などに含まれています。牛レバーにも多く含まれますがビタミンAが多くあるので食べる量に気をつけてください。
■ビタミンC
ビタミンCは、鉄分の吸収を助ける働きがあります。肌荒れやメラニンの生成も抑えると言われています。ビタミンCを多く含む食品は、レモン・赤ピーマン・レッドキャベツ・イチゴなどです。焼き海苔などにも多く含まれています。
■食物繊維
妊娠すると子宮が大きくなりやすいように黄体ホルモンが出るのですが、黄体ホルモンの影響で腸の動きも弱めてしまうため便秘になりやすいのです。
妊娠便秘を解消するために、食物繊維を食事に取り入れてみましょう。
食物繊維が多い食品は、干しシイタケ・さつまいも・わかめ・寒天などです。
ひじきにも多くの食物繊維が含まれていますが、ひじきにはヒ素が含まれており食べ過ぎないようにすることが大切です。
私は、生のわかめが一番良かったです。わかめが好きな人は試してみてください。生のわかめは、スーパーのお魚コーナーに売っています。
妊娠の食事で避けたほうがよいもの
妊娠中に食べるのを避けたほうが良い食べ物は、ビタミンA・水銀を多く含んだ魚・ひじきです。
ウナギ、レバーにビタミンA
妊娠初期に動物性ビタミンA(レチノール)を毎日食べ続けていると胎児の奇形や影響が大きくなるリスクが知られています。妊婦さんや胎児に影響が出ることのない最大量は一日辺り4,500μgREとされています。
ビタミンAが多く含まれている食品はウナギや豚・鳥のレバーです。レバーは鉄分が豊富で栄養があるので、毎日食べたいと思う人も多いと思いますが注意が必要です。
日本人の食事摂取基準2010年版で、ビタミンAの食事摂取基準が出されていて、妊婦初期・妊婦中期ともに0、妊婦末期でも+80となっています。
ウナギやレバーが大好きという人も食べるのを控えたほうがいいでしょう。
ビタミンAの健康への影響は下記のページに詳しく載っています。
参考:「健康食品」の安全性・有効性情報
水銀を多く含んだ魚
普段食卓に出ている魚は、良質のタンパク質やDHA、EPAなど豊富な栄養素を含んでいてバランスのよい食事を摂るには大切なものです。
しかし、魚の中には水銀を多く含んだものがあるため、多く食べ過ぎるとお腹の赤ちゃんの中枢神経へ影響する可能性があります。
マグロや金目鯛など身近な食材もあるので食べるときは十分に注意してください。
例えば、1週間にキダイの焼き物1きれ、ミナミマグロの刺身一人前(80g)程度が食べる量の目安となります。
具体的な食事の量は下記のリンク先を参照してください。
参考:これからママになるあなたへ 知ってほしいこと 厚生労働省
●水銀が多く含まれる魚
水銀が多く含まれる魚は、キダイ・マカジキ・ユメカサゴ・ミナミマグロ(インドマグロ)・ヨシキリザメ・イシイルカ・金目鯛・ツチクジラ・メカジキ・クロマグロ(本マグロ)メバチ(メバチマグロ)エッチュウバイガイ・マッコウクジラ・コビレゴンドウ・バンドウイルカです。
妊娠初期からひじきはダメ
ひじきは栄養価が高く鉄分も含んでいるのでよさそうですが、ひじきにはヒ素が含まれていることが分かりました。
2004年に英国食品規格庁(Food Standards Agency、FSA)が英国民に対してひじきを食べないように勧告しています。
毎日4.7g(一週間当たり33g)以上を継続的に摂取すると基準値を超えてしまいます。ひじきを主食にしている人は少ないと思いますが、もし食べるなら週2回程度小鉢に少し盛るぐらいがいいと記載している本もあります。
現在、具体的な健康被害は報告されていませんが、だれも100%安全とは言い切れない状況です。個人的には、赤ちゃんに何かあったらいけないので食べるのは控えたほうがいいと思います。
この他の注意点としては、生魚や生肉にはトキソプラズマ原虫がいることがあります。感染すると赤ちゃんに影響が出る場合がありますので、基本的に生魚・生肉は避けるようにして、食材には火を通してから食べるようにしましょう。
トキソプラズマはペットからも感染します。口移しで餌をあげたりぜす、ペットやペットの排泄物を触ったあとは、よく手を洗うことを忘れないようしてください。
妊娠初期は、先天性異常のリスクに注意!
妊娠初期のママに知ってほしいことがあります。
それは、妊娠初期に大事な栄養素である葉酸が不足してしまうと、「無脳症」や「二分脊椎」など先天性異常のリスクが高くなるということです。
このことは、世界的な疫学的調査で判明したことで、日本でも2002年より厚生労働省が妊娠初期の女性に対して葉酸を積極的に摂取するように通知を出しています。
葉酸は、普段の食事でも摂取できますが・・・
葉酸は絶対に必要な栄養素なので、不足しないように注意してください。
詳しくは、下記ページで説明しています。読んでみてください。
赤ちゃんとママの明るい将来のためにも、今すぐ葉酸を摂取するようにしてくださいね。
葉酸サプリの選び方については、失敗しない!葉酸サプリの選び方で解説しています。こちらも併せて読んでみてみてください。
妊娠と葉酸
最近の研究で妊娠前や妊娠超初期に葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを軽減できることが報告されています。諸外国でもリスク軽減として妊娠前や妊娠超初期に葉酸を取ることをすすめています。
・神経管閉鎖障害の発祥リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について(厚生労働省)
■注目の成分葉酸
葉酸は水溶性ビタミンで血を作るときに作用します。不足すると貧血を起こすことも。体内へは蓄積されることは少なく、毎日摂取することが必要とされます。
●葉酸が多く含まれている食品
葉酸は果物や緑黄色野菜に多く含まれています。ほうれん草・青のり・モロヘイヤ・納豆・いちごなどに多く含まれます。
葉酸は水に溶けやすく光に弱い食品です。買ってきた野菜や果物は新鮮なうちに食べるようにしましょう。スープにして食べるのもいいですね。
●葉酸の一日の摂取量
葉酸は様々な食品に含まれていますが、現代人の食生活からすると不足気味となっています。そこで不足分の葉酸を補うため栄養補助食品から摂取することが推奨されています。
一日の摂取量は通常の食事に加えて400μgとされています。一日に1000μgを超えないよう注意することが大切です。
葉酸は赤血球の生産を助けたり核酸の合成に必要だったりと赤ちゃんと妊婦さんにとても大切な栄養素です。日頃の食事で補うことが理想ですが、葉酸をサプリメントで取るのもおすすです。過剰摂取に注意しながらしっかりと葉酸を補給していきましょう。葉酸については妊娠と葉酸サプリメントにまとめました。
妊娠とアルコール
日本での20代女性のアルコール摂取率が増加傾向にあります。妊娠してからもアルコールを飲みたい衝動にかられて「ちょっとだけなら」って思うことも。
しかし、アルコールの量にはかかわらずアルコールを摂取すると胎児アルコール症候群(fetal alcohol syndrome FAS)になるリスクが高くなります。
胎児アルコール症候群とは、生まれてきた赤ちゃんに発育遅滞や器官形成不全が起こることです。アルコールは胎盤を通して胎児に入っていくため、脳や神経が発達するのを障害してしまうことがあるのです。
症状としては、出生前後の成長遅滞、中枢神経系の障害と、顔面の形成不全などがあります。FASの他にも流産する危険もありアルコールは絶対に止めたほうがいいです。
胎児アルコール症候群の予防法は、アルコールを飲まないことです。これで予防できます。妊娠が分かった時点で禁酒しましょう!
胎児アルコール症候群については下記のHPが参考になります。
参考:アルコールによる健康影響-アルコール-“胎児性アルコール症候群”|e-ヘルスネット[情報提供]
妊娠とカフェイン
カフェインは、胎盤を通じて赤ちゃんに渡されるため、低体重児や流産するリスクが高まるとされています。お腹の赤ちゃんのためにはカフェインを摂らないことが理想ですが、どうしても飲みたい場合には一日1~2杯程度なら影響は少ないと言われています。
しかし、カフェインを摂らないほうがいいので、カフェインの少ないコーヒーやカフェインがないタンポポコーヒーなどを代用するがいいでしょう。
カフェイン摂取量については英国の論文で「コーヒー1日2杯でも胎児に発育遅延のリスク―妊娠、週数を問わず妊婦はカフェイン摂取を極力控えるべき」と発表しています。
英国では、2008年に推奨摂取量を300mgから200mgへ引き下げています。論文からは、カフェインのリスクが高く摂取しないほうがよいとされていますので、極力避けるようにしましょう。
コーヒーの他にもカフェインが含まれていて、玉露や緑茶、紅茶やコーラ、チョコレートや栄養ドリンクなどにも含まれています。妊娠中はカフェインのない食品を選ぶようにしてください。
論文の詳細については下記を参照してください。
参考:[医療教育研究所] 「遠藤浩良の薬学雑記帳_17 」
妊娠中の食事と添加物
食品添加物や化学調味料は赤ちゃんに影響するのか気になりなすよね。
基本的に、食品添加物や化学調味料は常識で使う範囲内では気にしなくてもいいとされています。食品添加物や化学調味料は、代謝によって消費されるので神経質にならなくてもよいということです。
しかし、同じ食品ばかりを食べ続けることは避けたほうがよいでしょう。バランスの良い食事を摂ることが大切です。
つわりの食事
つわりの時の食事は「食べれるときに食べたいものを食べる。」が基本です。
お腹の中に何もないと気分が悪くなるので、少量の食事を4・5回に分けて食べるのがおすすめです。
朝起きたときつわりがひどくなるときもあるので、寝る前に少し食べて、朝起きたときに小さいおにぎり食べるとつわりが軽減できますよ。
つわりの症状などについてはつわり・悪阻でまとめています。読んでみてください。
妊娠中の食事とアレルギー
■食事で赤ちゃんのアレルギーを予防できる?
赤ちゃんのアレルギーを心配して牛乳や卵を食べない人がいます。しかし牛乳や卵を制限してもアレルギーは予防できないとの報告が多く有効性は疑問視されています。
それよりも牛乳や卵を制限することでの栄養不足が心配です。妊婦さんは栄養のバランスを考えた食事が大切ですので牛乳や卵も食事に鳥レ手みてください。
アレルギーを改善するには、周りの環境を良くするほうがよいです。ハウスダストが出ないように掃除をする、お風呂やシャワーを浴びて皮膚を清潔にするなど環境を整えることが大事です。
妊娠中の食事と大豆イソフラボン
食品安全委員会が「妊婦、胎児、乳幼児、小児については、大豆イソフラボンを日常の食生活に上乗せして摂取することは、推奨できない」と発表しています。
妊婦(妊娠の可能性がある人を含む)及び生殖機能が未発達な乳幼児及び小児に対して、特定保健用食品として大豆イソフラボンを日常的な食生活に上乗せして摂取することは、安全性が明確でないかぎり、推奨できないとしています。
日本人は、大豆製品を日常的に摂っていて、それ以上の大豆イソフラボンの摂取は推奨できないとされています。
妊娠中は、バランスのよい食事を心がけることが大切です。大豆製品ばかりでなく色々な食品をバランスよく食べるようにしましょう。
参考:食品安全委員会:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A | 食品安全委員会 – 食の安全、を科学する
妊娠中の食事レシピ
妊娠中の食事はバランスよく摂ることが大切です。でも、いざ自分で作ってみると同じメニューばかりになって飽きてしまいますよね。
そこで、妊娠中の食事レシピをまとめてみました。妊娠中の食事レシピを参考にしてください。
妊娠では妊娠から出産までの疑問や対処法をたくさん紹介しています。読んでみてください。