排卵障害
排卵障害は、不妊の原因の一つで全体の約2割を占めているといいます。排卵がないと妊娠が成立しないので不妊となってしまいます。
基礎体温を測ると分かりますが、正常な人はきれいに2相に分かれているのに排卵障害がある人はジグザグだったり1相しかない低温期のままだったりします。
また、2相に分かれていても高温期が10日未満だと排卵が行われていないかもしれません。排卵障害を改善すれば、妊娠も目指すことができるので早めに治療を開始しましょう。
特に90日以上生理が来ない無月経の人は早く治療を受けたほうがいいです。
排卵障害の原因
排卵障害の原因は、主に脳の視床下部や下垂体や甲状腺、卵巣に問題があるのが原因と言われています。しかし、排卵障害になるものは原因不明のものもあり、一つではなく複雑に絡み合って起こると考えられています。
排卵に関係があるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)のバランスが崩れて排卵できないか排卵が止まってしまいます。
直接的な行動が原因となることがあり、過度なダイエットや激しい運動などを行う、肥満や痩せがあると排卵障害になりやすいと言われます。
■脳に原因がある
排卵は、脳の下垂体や視床下部がコントロールしています。視床下部や下垂体に異常があると排卵が時間が掛かったり止まったりします。
●視床下部に原因
視床下部は生理周期と自律神経を調節している器官です。自律神経と密接な関係があるためストレスを受けやすいのです。強いストレスや過度な運動、肥満・痩せなどになったとき体を守るために集中して月経は後回しになり排卵障害となります。
●下垂体に原因
下垂体に腫瘍があったり、薬の副作用で乳汁が出ることがあります。お乳を出すのはプロラクチンというホルモンが関係していて、出産していないのに乳汁が出る病気を高プロラクチン血症といいます。
お乳が出ている間は排卵が抑制されるため排卵障害となります。
●甲状腺に原因
甲状腺に腫瘍があったり甲状腺機能低下症にかかっていると、ホルモンバランスが崩れ排卵に影響を及ぼします。
●卵巣に原因
卵巣の機能が低下していたり40歳未満で閉経が訪れてしまう早発閉経や多嚢胞性卵巣症候群(POCS)などになっていると排卵障害を起こします。POCSと糖尿病は関係があり、糖尿病も排卵できない原因と言われます。
上に書いている原因は便宜上、視床下部性排卵障害・下垂体性排卵障害・卵巣性排卵障害と分類しているだけで、実際には複数の原因があって排卵障害になると考えられます。

妊娠前から初期にかけて葉酸を摂取することで、先天性の異常である、「神経管閉鎖障害」のリスクを70%も低減できることが分かっています。
日頃から、十分な量の葉酸を摂取することが大切です。
詳しくは、下記ページで説明しています。読んでみてください。
●妊娠前・初期に絶対必要な葉酸

赤ちゃんとママの明るい将来のためにも、今すぐ葉酸を摂取するようにしてくださいね。
葉酸サプリの選び方については、失敗しない!葉酸サプリの選び方で解説しています。こちらも併せて読んでみてみてください。
排卵障害の検査
主にホルモンを調べる血液検査と超音波による卵巣の観察になります。生理周期によって検査できるホルモンが違うので、数回行うこともあります。
基礎体温表も排卵があるかの目安になります。基礎体温を測ると病気や排卵を知る目安となるので、普段から基礎体温を測ることをおすすめします。最近ではスマホのアプリで簡単に記録できるので使ってみるのもいいでしょう。
排卵障害の治療
血液検査などで原因が特定されると、その症状に応じて治療されます。妊娠を希望する時と希望しないときで治療法が変わってきます。
■妊娠を希望するとき
妊娠を希望するときは、内服や注射で排卵を促す治療が行われます。
●クロミフェン療法
排卵誘発剤のクロミフェン製剤を使って治療を行います。クロミフェン製剤は薬品名でクロミッド・セキソビット・スパクロミンなどです。血中のプロラクチン濃度が正常で無排卵周期症や第 1 度無月経の人が対象となります。
(投与の一例)
生理が始まって5日目より1日50~150mgを5日間内服します。排卵は投与終了後7~10日目に起こります。卵胞径が通常より大きくなっていることが多く23mm程度まで大きくなって排卵します。
排卵誘発率も高くて無排卵周期症は80%以上、排卵誘発率は第1度無月経で70%と高いのが特徴です。副作用も重度のものは少なく多胎発生率は数%、排卵誘発で問題となるOHSSの発生も少なくなっています。
クロミフェン単体での治療で無効なときも、hCG注射で排卵が起こることもあります。
●ドーパミン作動薬を使う治療法
血中のプロラクチン値が高い人がこの治療法の対象となります。(甲状腺機能低下症や薬剤性高PRL血症を除く)
ブロモクリプチン(パーロデル)2.5mg/日やテルグリド(テルロン)1mg/日をプロラクチン濃度が正常になるまで投与、排卵が起こるまで投与されます。
4週で約50%の人に排卵がみられます。機能性高PRL血症だと80~85%です。妊娠率は30~40%となっています。
●ゴナドトロピン(Gn)療法
クロミフェンが無効だった第 1 度無月経および無排卵周期症の人や血中FSH値が正常もしくは低い第2度無月経の人が対象となります。ドーパミン作動薬で無効だった人も対象となります。
ゴナドトロピン療法での排卵率は70~80%、妊娠率は約30%と言われています。
・ゴナドトロピン療法の副作用
ゴナドトロピン療法の副作用で問題となるのは、OHSSと多胎です。これを避けるために投与量を調整したりして副作用を軽減する対策が取られています。
排卵障害を改善するには
排卵障害を改善するには、日頃の生活習慣を改善することが必要です。排卵障害になる原因として、強いストレス・過度なダイエット・激しい運動などがあります。
ストレスを受ける場合にはストレスの解消を、過度なダイエットでは適正体重まで体重を戻す、激しい運動が原因の時は運動を休むなど対策をすれば改善を目指すことができます。
排卵障害は、飲み薬で改善する場合が多いので産婦人科を受診して治療を受けることをおすすめします。
排卵前のイライラ、何とかしたい!
排卵前のイライラは何が原因なのでしょうか?生理前症候群にしては時期が早すぎます。でも、排卵前というのはホルモンバランスが乱れる時期でもあります。バランスが悪くなってイライラしている可能性もあります。
イライラを解消するには、生活習慣を見直したり食生活を改善することで軽快が期待できます。スポーツやヨガで気分をリフレッシュするのもいいですね。日頃からストレスを溜め込まないようにすると改善していきます。詳しくは排卵前のイライラ、何とかしたい!でまとめました。
排卵障害と関係がある正常な生理周期については生理周期で説明しています。
妊娠では妊娠から出産までの疑問や対処法をたくさん紹介しています。読んでみてください。