多嚢胞性卵巣症候群の症状
POCSの症状は色々ありますが、頻度の高いものは月経不順や無月経(月経周期が3ヶ月以上)です。希発月経(39日~3ヶ月未満の長い周期)や無排卵周期症(生理周期が短い人も含む)なども症状として挙げられます。
■POCSの主な症状
・月経不順
・無月経
・無排卵周期症
・不正出血
・多毛
・肥満
・低声音
・陰核肥大
・ニキビ・吹き出物
不正出血や多毛・低声音・陰核肥大などの男性化兆候、ニキビや吹き出物といった皮膚症状、肥満などが症状としてあります。多嚢胞性卵巣症候群の症状として肥満が挙げられていますが、肥満でなくてもこの病気になることがあります。
症状は初潮の頃から出始め成人になるとはっきり現れてきます。高プロラクチン血症を合併していると乳汁漏出があります。
POCSになっている人は、高インシュリン血症や耐糖能異常といった糖尿病の症状を合併していることがあります。糖尿病を合併しているときは高インシュリン血症となっている場合があります。
糖代謝異常は排卵と深い関係があることが分かっていて、排卵障害改善に糖尿病治療薬メトフォルミンが使われることがあります。メトフォルミンを使うと排卵しやすくなることが多く報告されています。
多嚢胞性卵巣症候群の主な症状
多嚢胞性卵巣症候群の主な症状と割合は下の表のようになります。
症状 | POCS(%) | POCS疑い(%) |
---|---|---|
月経不順 | 99.9 | 96.4 |
多毛 | 10.5 | 8.2 |
にきび・低声音・陰核肥大 | 2.5 | 2.3 |
肥満 | 14.3 | 10.5 |
欧米では症状に肥満の割合が高いとされていますが、日本では14.3%と欧米ほど高くなっていません。しかし、肥満じゃないからといってPOCSにならないというわけではないようです。
従来は欧米の基準をもとに多嚢胞性卵巣症候群の診断が行われていましたが、欧米での典型的な症状の多毛・肥満が日本では少ないことを受け1993年に診断基準が設定されています。
しかし、診断基準1993の問題点が指摘され(血中 LH 値測定・アンドロゲンの測定・卵巣所見の曖昧さ)2007年に新基準へと移行しています。
婦人科外来では、POCSで受診すると言うより生理不順や無月経、不正出血などで受診して分かる場合が多いようです。日本産婦人科学会によるとPOCSと診断された人の99.9%に月経不順がみられたとの報告があります。
この他にも、多嚢胞性卵巣症候群の人は排卵に問題がある場合も多く不妊も症状の一つといえるかもしれません。
これらの病気になる原因としてホルモンの異常があります。これらに関係するホルモンは、脳の下垂体の視床下部(脳の真ん中)でコントロールされGnRHと言うホルモンが多く分泌してPOCSが引き起こされます。
高プロラクチン血症の場合はプロラクチン(PRL)の分泌が増加して排卵しにくい状態になり不妊となります。
※プロラクチンは乳汁を出すのに関係するホルモンで下垂体から分泌されます。値が高くなると排卵が押さえられるため妊娠しにくくなります。
原因はこれだけでなく、副腎系および糖代謝異常・エストロゲンの産生増加など複雑に絡み合って発症すると考えられています。
POCSについては多嚢胞性卵巣症候群でまとめています。参考にしてください。
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