多嚢胞性卵巣症候群を完治?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は治療法が確立されておらず完治が難しい疾患です。現状では対症療法になっていて、ホルモンの異常分泌を抑える薬や糖代謝を正常に近づけるようにするなどの治療法が行われます。
POCSの治療
POCSの完治は難しいのですが、排卵などを改善していくことはできます。妊娠を希望する場合と希望しない場合で治療法が違ってきますが、主にホルモン製剤を使った療法から始まります。
POCSの人は、月経が安定しない月経不順や無月経、月経があっても排卵しない無排卵などの症状を抱えています。日本産婦人科学会によると99.9%の人が症状を持っていると報告されています。
生理が来ないということは、排卵が起きていないということで妊娠できない不妊の状態となります。不妊とは、避妊せずに通常の夫婦生活を行って1年以内に妊娠しない状態のことをいいます。
多嚢胞性卵巣症候群になる原因
POCSになる原因として、ホルモンのコントロールをしている脳の視床下部や副腎の機能異常や、糖代謝異常で卵巣のアンドロゲン産生が多くなることなどが考えられています。
原因が一つではないので、血液検査やホルモン検査を行って、どこが原因なのかを探っていきます。
妊娠を希望する時の多嚢胞性卵巣症候群治療
POCSの完治は難しいので、最終目標である出産を目指して治療を行うことになります。
はじめは、クロミフェンであるクロミッドなどで排卵を誘発することから始まります。クロミッドの副作用として子宮の頸管粘液の減少や粘りが強くなる、子宮内膜が厚くならない、多胎妊娠(約5%)などがあります。
頸管粘液の減少や子宮内膜が厚くならないのは妊娠の妨げとなってしまいます。この副作用を避けるために月経6周期以内に使用を抑えるようなっています。施設によっては3周期使って1周期休むというサイクルをとっている施設もあります。
これでも排卵できないときは?
これでも排卵できなかった場合、hcgやFSH製剤による注射で排卵を促すことになります。注射による排卵誘発は、副作用である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいため、注意深く経過をみながらの注射となります。また、多胎妊娠の確率が約20%まで上がります。
これでも排卵できないときには腹腔鏡を使った手術や体外受精へと移行していきます。
この他の原因として糖代謝の異常があります。インスリンが異常分泌されて結果的に卵巣内のアンドロゲン産生が亢進されてしまう疾患です。
この疾患には、糖尿の治療薬であるメトフォルミンが有効で、インスリン抵抗性を持つと判断された時にはメトフォルミンが投与されます。インスリン抵抗性を持たない人には有効でないので注意が必要です。
最近ではメトフォルミンと同じようなメカニズムを持ったグリスリンと成分が使われるようになってきています。グリスリンは舞茸から抽出される成分で天然由来のもので副作用も少ないと言われています。
多嚢胞性卵巣症候群は完治が難しい疾患ですが、医療機関で適切な治療を行うことで排卵が改善されて妊娠できるようになる疾患です。
POCSと診断される人のほとんどは軽症なので、慌てずに治療を行ってください。
POCSについては多嚢胞性卵巣症候群でまとめています。参考にしてください。
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