多嚢胞性卵巣症候群と腹腔鏡手術
多嚢胞性卵巣症候群でクロミッドやセキソビットを使った療法やHMG-HCG 療法を施しても、排卵が起きにくい時には腹腔鏡手術が行われるときがあります。
腹腔鏡手術とは、体の数カ所(主にへその下と両脇腹)に数センチの穴を開けてそこからカメラや鉗子を入れて手術を行うことです。POCSの場合は、卵巣の表面に20~30カ所の穴を開ける、もしくは表面を焼灼する手術を行います。
実際の手術の様子は下記のページに記載されています。
PCOSに対する単孔式腹腔鏡下未熟卵子採卵 | 東京大学医学部附属病院 女性診療科・女性外科 生殖医療グループ
この手術の利点として、術後約70%の人に自然排卵の回復が期待でき、不妊の原因となっている高LHの低下やLHF/SH比の改善、アンドロゲン値の低下などが期待できます。また、妊娠率の向上も期待されていて一年以内に約50%が妊娠すると言われています。
参考:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) | あみウイメンズクリニック
腹腔鏡手術を行うメリット
POCSに対してラパロ(腹腔鏡手術)を行うのは次のようなメリットがあります。
・LHやLHF/SH比が改善される
・クロミフェンが効くようになる
・術後約70%が自然排卵するようになる
・術後の妊娠率が上がり1年以内に50%の人が妊娠する
・多胎妊娠やOHSSを予防できる
一方デメリットとしては
・侵襲的手術となる
・手術痕が残る
・効果は約半年から1年半しか持続しない
・インスリン抵抗性が改善できない
・個人差があるので効果を予測できない
・入院が必要
などがあります。
多嚢胞性卵巣症候群の術後は?
術後はタイミング法やAIHなどが治療法となります。これでも排卵できない場合はクロミッドを投与したり排卵を誘発する注射をしたります。
しかし、卵管や男性の精子に問題があると、妊娠できないため体外受精へ移行することが多いようです。このような場合に備えて、手術するときに針を刺して採卵して精子と受精させ凍結させる治療法もあります。
腹腔鏡手術で痛みがあるかどうかですが、傷の痛みはあるものの術後翌日には歩けるようになるなど、お腹を開ける手術より回復が早いようです。痛みの感じ方には個人差があるので、心配な人は医師から十分に説明を受けるようにしましょう。
重篤な症状として無排卵となることがあり、注意が必要です。
腹腔鏡手術を実施するには、ある程度の設備が必要なため実施する施設は限られています。また、腹腔鏡手術をしても排卵できないこともあり体外受精へステップアップするため、手術を行わずに体外受精をすすめることもあります。
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