卵巣過剰刺激症候群と妊娠
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、不妊治療でリスク因子としてある疾患です。特にPOCSの人がなりやすいので、排卵誘発前からどのような排卵誘発を行うのか慎重に検討されます。
IVF-ETでは、卵巣内で多数の卵胞を育てるのが目的なので、OHSSも含めて総合的に治療を行っていきます。
最近では、low-dose step-up法という従来より安全性の高い治療法が確立されて、OHSSの発症も1%未満と非常に低く抑えられています。
OHSSとlow-dose step-up法
排卵誘発の副作用として卵巣が過剰に反応してしまうOHSSがあります。特に多嚢胞性卵巣症候群と診断された人はリスクが高いとされます。
■hMG 製剤での排卵誘発方法
クロミフェンやシクロフェニル(セキソビット)を服用しても排卵が起きない場合、hMG 製剤やhCGの注射による排卵を促す方法がとられることがあります。
hMG 製剤は排卵誘発効果が強力ですが、副作用であるOHSSや多胎妊娠が懸念されます。これを避けるためにhMG 製剤の投与法が工夫されています。
主な投与方法として、等量投与法(fixed dose 法)、漸増投与法(step up 法)、漸減投与法(step down 法)、律動的投与法(pulsatile administration)などがあります。
多嚢胞性卵巣症候群のときは
多嚢胞性卵巣症候群の人はOHSSになるリスクが高いとされています。POCSの人は、他の人に比べてLHに対して敏感なためOHSSになりやすいとされています。
従来の排卵誘発に使われるhMG 製剤にはLH(黄体化ホルモン)も含まれているので、OHSSになるリスクが高まり問題となっていました。
OHSSを避けるために様々な治療法がありますが、日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会が2009年に示した新治療指針では、FSH 製剤による低用量漸増療法(low-dose step-up 法)が推奨されています。
low-dose step-up 法はpureFSH製剤 を使って排卵誘発を行う方法で、従来のstep up 法に比べて卵巣過剰刺激症候群になるリスクは低いとされています。
従来の方法では、卵巣内で多数の卵胞が発育して多胎妊娠やOHSSのリスクがありましたが、投与量を減らすことにより一つの卵胞(主席卵胞)を発育を促すことができ多胎妊娠の可能性を減らすことができます。
医学の進歩により卵巣過剰刺激症候群でも妊娠することが可能となっています。
OHSSについては卵巣過剰刺激症候群でまとめています。参考にしてください。
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